素地調整の要点~塗装仕上げの良否にかかわる重要工程~

素地調整は、塗料を密着させるために、素地面から「汚れ」「付着物」などを
除去して平滑化するもの(ケレン処理といいます)と

欠損している箇所を補修して平滑化するもの(パテ処理といいます)とに大きく分けられます。

国土交通省の「公共工事標準仕様書18・塗装工事素地ごしらえ」には
詳しく、被塗物の種類別の要点が示されています。
ここでは、「木質系素地」「金属系素地」「セメント系素地」をとりあげてその内容を解説していきます!


木質系素地の目止め

溶剤などで汚れや付着物を除き、ヤニ処理を行います。
ラワン、シオジなど、導管の発達した樹種では、導管を埋めて塗料の吸い込みや
下塗り、中塗りの工程において発泡することをおさえるために「目止め剤」を塗布します。

その後、鉋目(かんなめ)、逆目(さかめ)、ケバなどの研磨処理を経て
節止め、パテ処理を行い、全体を平滑に研磨していきます。


金属系素地錆び止め

鉄鋼面では、スクレーパー、ワイヤーブラシなどで、塗装面の汚れや付着物を除き
溶剤で油脂分を除去して錆落としを行います。
錆落としは、酸による化学的処理方法と
ブラスト法、サンダーかけなどの物理的処理方法があります。

もっとも高品位の仕様では、その後さらに化成皮膜処理を施します。
素地と塗膜を密着させる下塗りには、錆止めペイントを使用します。
亜鉛メッキ鋼面では、汚れ、油脂分の除去までは鉄鋼と同様ですが
その後化成皮膜処理をおこない、エッチングプライマーを下塗りしていきます。


セメント系素地とシーラー塗布

セメント系素地は水分を含み、アルカリ性で吸水性があるなどの性質を持っています。
必要に応じてけれん処理をした後には、吸い込みとめのシーラーを全面に塗布していきます。


その後、素地の目違いや凸凹を削り取り、パテ処理を施します。
さらに、ボードの目地やコンクリート面には、目の粗いガーゼ上の寒冷紗を張って
「地」とするケースもあります。


このように、被塗物の種類によって、素地を調整する工程はそれぞれに異なってきます。

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